大阪が生み出した儲かる(売上アップ)のためのIT商法は、「使える物は何でも使う、便利を追求する、花より団子」とごちゃ混ぜの三拍子がそろっている。本連載ではそんなベタで面白いIT商法を紹介していく。
夢を実現するナニワのエジソン (後編)
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合同会社 関西商魂 代表 中森勇人
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飛ぶコンピュータの発想はひょんなことからだった。今から2年前、塚本教授が海外の学会に参加したときのこと。ふと入ったオモチャ屋でUFOのラジコンが目にとまった。店内のVTRから今まで見たことのない映像が飛び込んできたのだという。
空中に円盤が浮いている姿はまさに、子供の頃見たUFOの特集にでてくる、あの映像。その時に「これだ!」と感じたと塚本教授は話す。
そのころ塚本教授は研究を進展させるきっかけを探していた。ウェアラブルコンピューティングの研究を始めた頃は企業などから共同研究の声がかかり、教授自身も「一年後には渋谷を歩くほとんどの若者がHMDを装着し、街から看板や大型ビジョンが消え、居酒屋のメニューも駅の表示もなくなるだろう」と予言していた。
しかし、メーカー側の商品開発は進んでも製品という段階でなかなかゴーサインが出ない。何かが足りないと感じていた矢先の出会いだったと教授は当時を振り返る。帰国後、早速アメリカで見た空飛ぶ円盤の映像に近づけるべく、コンピュータを飛ばすためのマシンを探した。その結果、ラジコンヘリが最適だということでホビーラジコンシェア世界一の「ヒロボー」にアプローチをかけたのだった。
■飛ぶコンピュータの実現にむけて
タイミングというのはあるもので、ちょうどヒロボー側もラジコンヘリの新しい可能性を模索していたところだったというから面白い。
しかし、いきなり共同開発ということにはならなかった。何せ「ドラえもんの道具」なのだから、胡散臭い話と捉えられても不思議ではない。そこで、塚本教授は思いをぶつけるために特別なプレゼンテーションを敢行する。何とドラえもんで最も有名な道具「タケコプター」を自作したのだ。
この自作タケコプターは小型モーターにおもちゃのプロペラ、電池ケースを取り付けたものでスイッチを入れるとプロペラが勢いよく回るといったもの。これをポケットに忍ばせ「実現すればこうなります」と会議の席で取り出したのだ。ヒロボーの開発部長はこの“如何にも飛びそうにない道具”を前にイメージを膨らませて語る教授の熱意に心を動かされたのだという。
こうして2005年2月に稀代のコラボレーションが誕生した。開発に際してはコンピュータの小型化も追い風になっている。ウェアラブルの研究を始めた当時から比べると画期的に小型が進んでいたのだ。数センチ四方の基盤の中にヘリに搭載するカメラや小型計算機を組み込むことができるのだという。
現在開発中のヘリにはオリジナルの小型コンピュータに自立飛行用のシステムが搭載され、地上のマークを探し出してのホバーリングが可能。しかも、2m四方のスペースがあれば空中に浮遊することができるのだという。
空を飛ぶというのは誰もがあこがれていること。だから学会でも注目を浴び、理解も得られる。飛ぶコンピュータの実現とともにウェアラブルの必要性もますます高まり、飛躍的にコンピュータの可能性が広がるのだという。
今後の課題はより小型化を進めていくこと。将来は万年筆くらいの大きさで、用途に応じてポケットから抜き出して飛ばすといった使い方を目指している。例えば記念撮影用に飛ばすとか。人が入れないような場所から想像も出来ないアングルで撮影をすることもできるだろう。鍵などの小さな物だと搬送することもできる。ちょっと忘れ物をしたとか、バイク便の代わりに使うなど。
道に迷ったときはGPSを内蔵したタイプを飛ばし、音声ガイド付きで先導して飛行させることもできるだろう。ブルートゥースを内蔵すれば周囲に迷惑をかけることもない。こうしてみると二足歩行のロボットが町中を歩く姿より、空飛ぶコンピュータが空中を浮遊している姿の方が現実味があるのではないだろうか。塚本教授はこの事について「飛ぶことはロボットが苦労している部分をクリアーする画期的な方法」と位置づけている。
「5年後には飛ぶコンピュータが自分の肩の横を飛んでいることでしょう。もちろんこれは予言ではなく、現実なのです。学生達も毎日目を輝かせて研究をしていますから、必ず実現します」と語る塚本教授。まさに将来の“飛び道具”となるのは間違いない。